太陽の光が街に降り注ぐ。つんと冷えた空気が爽やかで気持ち良い。朝露が欠片のようにきらめく。そんな街の洒落たカフェのテラスで、美しい女性がコーヒーを飲んでいた。結婚をもうじき控えた彼女はどこか儚げで、まるで青春との別れを惜しんでいるようである。
 突如、突風が吹いた。全裸の男が全速力でカフェに突っ込んできたからである。
「うううううううううううううううう!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
男は唾液と汗をまき散らしながら走る。空中に飛び散ったそのエキスは、きれいな虹をつくった。
 男が通り過ぎると、街に再び平穏が訪れた。まるで春の夜の夢のごとし。







ナットウマン 第四話
〜くっさwwwwwコミュ抜けるわwwwww〜
物部守谷



 コロビー警部は頭を抱えた。
「なんで死体が無くなっているんだ…」
「あっ警部!探したんですよ!!大変なんですから!!」
「一体何があったんだ…」
「ここにあった死体が突然起き上がって、街に向かって全速力で走って行ったんです。」
「訳が分からない…確かその死体はグリーンドリアンに殺された被害者だったな?」
「はい。ずっと死んだり生き返ったりしていた人です。」
「… 生き返っちゃったかー」
「生き返っちゃいましたねー」
「「はははははは!!!」」
病室に二人の警官の楽しい笑い声が響き渡った。病院で騒ぐのは他の患者さんの迷惑になるのでやめましょう。







 「起きろ藤真!!大事件だぞ」
やれやれまた今日も記者Aがやってきたか。どうせまた金でも借りに来たのだろう。残念だったな。何人たりとも俺の睡眠を邪魔することは許さん。全力でスルーしてやる。
「起きろって!!」
「なんだよ、起きちゃったじゃん」
「事件だって言ってるだろ。お前も記者の端くれなら飛び起きるぐらいしろよ。」
「いやいや、睡眠はとても大事だろ。お前だって睡眠スクールに通ってただろ。」
「スイミングスクールだよ!!いいから着替えて支度しろ!!ナットウマンらしい奴が現れたんだよ!!」
「ナットウマンだって!?おい記者A、何をぐずぐずしているんだ。仕事行くぞ。」
「お前を待ってたんだよ!!あとこの間貸した金、早く返せよな!!」







 事件現場は騒然としていた。破壊された壁、撒き散らされた液体、そして公衆便所のような臭いが充満していた。確かに素人にはこれはナットウマンの犯行に思えたかもしれない。しかし日々納豆の臭いを嗅ぎ、その臭いごと連れてってあげる奈津藤真は知っていた。この臭いがピータンのものであると。



第5話に続く

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